えさのこと
鶏の食べもの
鶏は雑食です。
色々なものを食べるので、昔から人の生活と相性が良く、
残飯を食べてくれるだけでなく、卵も産んでくれるという
とてもありがたい存在でした。
鶏は、一日の多くの時間を餌を探し食べることに使います。
主なエネルギー源は米などの穀類から摂りますが、
我が家の庭では、たくさんいたコオロギがほぼ全滅してしまうほど、
鶏たちは一日中、足で土を搔き、虫やミミズを探しては好んでよく食べます(たんぱく質ですね)。
また、草もよく食べます。放し飼いにすると、生い茂っていた草もすぐになくなってしまいます。
現代における養鶏では、こんな風に虫を探すことも青草を食べることもなかなか出来ません。
あまりにも工業的な養鶏になってしまったからです。
何十何百万の鶏たちを一か所で飼育するためには、大量の輸入トウモロコシに、
魚粕や米ぬか、肉の残渣を加工したものなどを配合し、
更にはこれらの原料だけでは不足しがちなビタミンや、防カビ剤、抗生剤など
飼料添加物を混ぜたものを大量に購入して与える必要があります。
下表は飼料の例です。
(日本の畜産の将来を考える会より 配合飼料の作り方(その3) | 日本の畜産の将来を考える会)
それでも、鶏の成長に必要な栄養分が計算され、しっかり配合されているので
下手に独自で配合するよりは、鶏の健康上の問題は少ないと思います。
そして、生産者としてはとてもお手軽です。
サナショクの餌づくり
一方で、サナショクの餌づくりは「地域循環」をテーマにしているため、
海外から輸入した物や、遠方からわざわざ買い付けた原料は使用していません。
地域内(静岡県内)で採れたもの、通常であれば廃棄される(でもとても有用な)ものなど、近くで手に入るものを使うようにしています。
静岡県内を走り回り、米屋さん、蕎麦屋さん、魚屋さん、豆腐屋さん、農家さんなどから直接いただいています。
餌を変えればもちろん、卵の色も味も変わります。
<サナショクの餌の原料>※季節によって変動あり
・くず米(静岡県産)
・米ぬか(静岡県産)
・おから(静岡県産、北海道産の大豆)
・魚あら(国内水揚げ)
・かつお節(国内産)
・えごま油かす(静岡県産、農薬不使用)
・ごま(静岡県産、農薬不使用)
・なたね(静岡県産、農薬不使用)
・野菜いろいろ(静岡県産、農薬不使用)
・茶(静岡県産、農薬不使用)
・雑草
サナショクの餌の原料(一部)
この方法、高騰する飼料価格には左右されませんがとにかく手間がかかります。
また、マニュアルや教科書がないので、配合するには知識が欠かせません。
身近で手に入るものを使うので、一見シンプルで簡単なように見えますが、
誰もやっていないことにチャレンジするには、こんなにも骨が折れるものなのかと、
やってみて痛感しています。
けれど、この方法がどう考えてもサステナブルで無駄がなく、環境にも人にも鶏にもいい方法な気がして、試行錯誤しながら取り組んでいます。
これからも、地域で使えそうなものを探し、
鶏の健康のため、環境のため、ついでにおいしい卵になったらいいなと
期待しつつ、色々な意味でいい餌づくりと続けていきたいと考えています。